オラン・ペンテグ

『ゴジラ』の原作を書いた探検小説家の香山滋の処女作に、『オラン・ペンデクの復讐』という作品がある。オラン・ペンデクとは、インドネシアの島々に伝わる「小さな人」という現地語の、謎の小型猿人のことだ。マレー半島やスマトラ島、およびその周辺の島では、 このオラン・ペンデクと呼ばれる未知の人類が、昔から原住民の間で噂されていたのだ。
 オラン・ペンデクの身長は80センチから150センチといわれ、肌はピンクがかった褐色で、濃褐色の短毛で全身を覆われ、頭髪は黒くてフサフサ。猿との明確な違いは、木登りが苦手で言語を使うという点だ。研究に関しては1910年代から始まったが、100年経った現在まで、疑わしき足跡(苦笑)以外に確たる生存証拠は発見されていない。
 ところが2003年、オラン・ペンデクが噂される圏内で、世界の生物学会を揺るがす大発見があった。

コモドオオトカゲの生息地でも知られるフローレス島の洞窟内で、身長1メートル前後の小型原人の化石が、約1万2000年~1万8000年前の地層から発見されたのだ。その原人は、島の名にちなんで「ホモ・フロレシエンシス」と命名された。  このホモ・フロレシエンシスは現在も研究が進行中で、現生人類ホモ・サピエンスの病体なのか、いや、アフリカからアジアを渡って島々にたどり着き、独自の進化を遂げた未発見の人類だ、などと論争は続いている。個人的には、ホモ・フロレシエンシスのわずかな残党が最近まで生き残り、オラン・ペンデクの伝説を作ったのでは......などと考えてしまう。