2008年5月、カリフォルニア州オレンジ・カウンティに住むデイナ・クリスチャン・ウェルチが、ある事件を起こした。ジョン ウェイン空港に向けて着陸体勢に入っていた旅客機2機にレーザーポインターを当て、パイロットの操作を妨害したのだ。これによりパイロットの視界が遮られ、旅客機は墜落寸前だったという。

現在、各国政府において、高性能のレーザーポインターなど武器になり得る装置を、法律で規制しようという動きが出ている。昨年オーストラリアでは、レーザーポインターで航空機の進路を妨害した事件が少なくとも4度あり、その事件に使われたタイプのポインターは即使用禁止になった。

そして、事件から約1年半経った先週、ウェルチは裁判で2年半の実刑判決を命じられた。レーザーポインターによる航空機への妨害事件では、アメリカ初の受刑者である。

しかし、ちょっとしたイタズラ心でパイロットの目くらましをしようとするタチの悪い"プチ・テロリスト"は彼だけではない。同様の事件が2005年までに8度も起きていることが確認されているのだ。いずれも、ケガ人などの被害が出なかったのが幸いである。


パイロットは、太陽光が直接目に入った際などの対処法を教わってはいる。しかし、講義を受けたからと言って必ずしも善処できるものではないだろう。今年初め、"ハドソン川の奇跡"と呼ばれる不時着で英雄になったサレンバーガー機長などは、ごくまれな例なのだ。

国防総省は、レーザーポインターのさらなる危険性を訴えている。光によって引き起こされる一時的な失明は、目に回復不能な損傷をもたらすことがある上、脳出血を引き起こすおそれもあるというのだ。ウェルチの実刑判決が、他愛ないイタズラのつもりでレーザーポインターを使う人たちへの警告になればと心から願う。

また、屋外のレーザーライト・ショーの危険性も指摘されている。たとえNASA(アメリカ航空宇宙局)であっても、気軽にレーザーライト・ショーなど企画しないようにしてもらいたい。